医療・介護従事者向け

「佐渡から病院がなくなる日」――厳しい現実と、みんなで医療を守るための第一歩

 皆様、こんにちは。一般社団法人佐渡地域医療・介護・福祉提供体制協議会(しまみらい)事務局長の稲辺です。

4月28日、第167回「種火の会」にお招きいただき、「佐渡から病院がなくなる日」というテーマで講演をさせていただきました。

病院がなくなる日

少し刺激的なタイトルに驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。しかしこれは、決して皆さまの不安をあおるためのものではありません。佐渡の医療を「地域の共有財産」としてみんなで守り抜くために、まずは厳しい現実を包み隠さず、正しく共有したい。その強い思いから選んだテーマです。

当日は19名の方にご参加いただき、アンケートでは18名の方から「良かった」「大変良かった」という心強いお声をいただきました。本日は、その講演のエッセンスと、今後の私たちの決意についてご報告いたします。

■ 病院は「患者を診るほど赤字になる」という現実

講演の冒頭で真っ先にお伝えしたのは、「佐渡の医療は、全国と同じ構造的な危機の中にある」という事実です。

  • 全国の病院の約75%が赤字経営である

  • 公立病院に至っては、ほぼ全てが赤字に陥っている

  • 外来は診れば診るほど赤字になり、人手不足で病棟すら開けられない

「病院は患者が来れば黒字になる」というかつての常識は、もはや通用しません。現場の医療従事者がどれほど身を粉にして働いても、構造的に成り立たなくなりつつある苦しい現状を、できる限りわかりやすくお話ししました。

■ 佐渡の未来を映す鏡と、行動がもたらす希望

講演の中盤では、2つの地域の事例をご紹介しました。

一つは、長崎県・五島市の厳しい事例です。かつて460床あった病床が、深刻な人手不足により実質70〜90床しか稼働しなくなってしまいました。入院が必要な状態でも、「自宅で様子を見る」か「本土からのヘリを待つ」かの二択を迫られる住民の姿は、決して他人事ではありません。佐渡も同じ道をたどる可能性があり、今がまさに踏みとどまるギリギリのタイミングです。

しかし、絶望の話だけでは終わりません。 もう一つは、南九州市の希望となる成功事例です。夜間の軽症受診が急増し、医療崩壊寸前だった町が、住民・行政・医療者が一緒になって「医療の正しい使い方」を見直し、見事に立て直しました。住民の皆様の行動一つひとつが、地域の医療を守る最大の力になるという実例です。

■ 参加者の声から見えた“希望の光”

終了後のアンケートには、佐渡の医療を守りたいという皆様の熱い思いが溢れていました。

  • 「佐渡の現状がよくわかった。どうすればいいかも見えた」

  • 「病院は患者が来れば黒字だと思っていたので驚いた」

  • 「不安になるだけでなく、自分も行動しなければと思った」

  • 「自分の健康を自分で守ることが医療を守ることにつながると感じた」

  • 「市や県にも広く伝えてほしい内容」

  • 「しまみらいの市民向けイベントも知りたい」

こうしたお声に触れ、私自身も非常に勇気づけられました。

■ これからに向けて:対話の場を早急に作ります

稲辺からのメッセージは、シンプルです。「佐渡はすでに入口に立っている。でも、まだ間に合う」医療を守るのは、医療者だけではありません。 住民のみなさん、行政、そして医療・介護・福祉の現場が、 一緒に未来をつくっていくことが大切です。

しまみらいでは、これからも市民のみなさんと一緒に、 佐渡の医療の未来を考える場をつくっていきます。

どうぞ気軽にご参加ください。